2003年11月7日金曜日

NO.5・2003/NOV/7th〜Lickey Lee Jones

リッキー・リー・ジョーンズのライブをニューヨークで見れる事が分かったのは、出発2週間前だったかしら。今回の旅の大きな目的にもなったのだけれど、その期待を裏切らない素晴らしい内容だった。

旅の3日目、サンフランシスコからニューヨークへ飛行機で移動する。時差が3時間あるので午前中に乗り込んでも到着するのは夕方5時だ、そこから1時間シャトルバスでミッドタウンまで行ってホテルにチェックインして荷物を下ろして、即効8時30分開演の彼女のライブに滑り込む予定だった。

予定通りにバスを降りたのだけど、金曜日のニューヨークの夜、まったくタクシーがつかまらない。3年ぶりのニューヨーク、土地カンが戻らなくて、行く道行く道逆向きの一方通行で、結局30分程スーツケースを手でひいて小走りで15丁目分ほど北へ急ぐ。57丁目のホステルへチェックインして一応ホステルの中をざらっと見て、すぐライブへ向かった。途中、前回夏時間に変更されているのに気付いたダンキンドーナツの横を通る、なつかしい。

意外と簡単に会場のタウンホールを見つける。ネット予約の確認書とクレジットカードで本チケットと交換してくれるのだ。まだ外に沢山の客が溢れている当日券もまだあるようだった。ドリンクバーで生ビールを買う、うまいっ!走り続けてセーターも汗まみれ、喉もからからだった。客層がいい具合にばらばらだ、白い人、黄色い人、黒い人、ティーンエイジャー、年輩の人。これだけ多種多様な人々が集まるのは、やっぱりRLJらしい。嬉しくなった。

私の席は会場の右端、前から7列目ぐらい、ステージが良く見えた。客電がおちてさぁ始まり。

呆気無いくらい簡単に、沢山の共演者と一緒にRLJが手を上げて登場した。この素っ気無さ、かっこいい!RLJが聞き取りにくい英語で『バースデイが。。。』とMCする、すると客席から歌声が沸き上がった、『HAPPY BIRTHDAY TO YOU !!』彼女の誕生日だったんだね(もしくはそれに近かったのでしょうね)!!

ステージには、沢山のメンバーだ、RLJをまん中に半円上に突っ立ている。みんな彼女を見ている。彼女の一挙一動を見逃さないように、その緊張が伝わって来る。みんな複数楽器をやる。コーラスとパーカス、ドラムとパーカス、バイオリンとペット、サックス全種、ピアノとホルン、ギターとビブラホンなどなど。曲ごとに全員がそれらを持ち替え、バンドアンサンブルもあれば、歌と弦楽三重奏だったり、ブラスのソリがあったり、アコギとパーカスだけだったり。懲りに懲りまくってる、彼女のフォークという音楽の背景をベースにして、色んな角度から光をあてる感じで、これはPAが相当大変だわと思っていたら、途中ステージ上でかなりハウリングして、RLJが細かく舞台そでのエンジニアに指事を送っていたりするのが見えた。

彼女は真剣だった。昔ジャンキーだった彼女だが、今私の目の前で歌う彼女は立派な親方であり、挑戦し続ける歌い手であり、客席を沸せるエンターテナーだ、堂々と歌い綴る。

ピアノで弾き語る。素晴らしかった。抑制的で且つハイテンションな歌の連続だった。思わず立ち上がって拍手する。そうする事でより深く彼女の音楽に参加したいと思わせられる。そこにいるみんながそう感じていたと思う。声をあげてわんわん泣きたくなった。

彼女は今強力なブッシュ批判をしていると私には感じられる。彼女の最新作の中にある『アグリー・マン』は彼を指しているだろう。
彼女は真剣なんだ、それがそのライブで私が感じた答えだ。ここに、こんな大真面目に意義申し立てをし続ける女がいて、その女を見たいと望む人達がその彼女の文化に触れようと列をなして集まって来た。私もその1人だ。

ライブが終わって、PA卓をのぞきに行った、曲リストが一枚乗っけてあった。一瞬、欲しいと思った。その瞬間、中学生ぐらいの女の子が得意げにそれを拾い上げた。

どうぞ、今日の感動を忘れずにいて欲しいな、私より長く生きるはずの人が手にしてくれて良かったなって思った。

ツアーグッズが飛ぶように売れている横を通り過ぎて、ホステルに帰る。ニューヨーク1日目、上出来だった。